✵病気発症のメカニズム③エネルギー生成系

自律神経のバランスは、細胞内のエネルギー生成システムのバランスにも関係しています。

 

交感神経が優位となると、身体は、エネルギーを消費するモードとなり、解糖系・ミトコンドリア系ともに、働きます。

 

反対に、

 

副交感神経が優位となると、身体はエネルギーを貯めるモードとなり、解糖系・ミトコンドリア系ともに、抑制されます。

 

エネルギー生成システム

 

体内でエネルギーが作られるしくみは、二つあります。解糖系とミトコンドリア系と呼ばれるものです。

 

エネルギーの材料である、食べもの(糖質、たんぱく質、脂質などの栄養素)は消化官で消化・吸収後、血流にのり全身の細胞へ運ばれ、そこで、エネルギーを作る工程に入ります。

 

 

解糖系

 

・解糖系は酸素を使わす、糖質を分解し、ブドウ糖からエネルギーをつくる。

 

・解糖系は細胞質で、深部が32℃~33℃という低体温、低酸素の環境下で、活発に働く。

 

・糖を利用するので、血糖の上昇も「解糖系」が活発に働く条件となる。

 

・ビルビン酸を作る過程で、少量のATPと呼ばれるエネルギーを産生。同時に乳酸も作られる。

 

・瞬時に作られるので、瞬発力を必要とする様々な行動に使われる。(運動などで瞬発力を必要とする時、ストレスを乗り切ろうとする時、物事を一気に処理しようとする時、怒りなどの感情が一気に高まった時、瞬時に反応する時など。)

 

・細胞分裂に使われる。

 

 ・利用される細胞:筋肉の白筋、精子、皮膚の上皮細胞、がん細胞、胎児の細胞など

 

 

ミトコンドリア系

 

・解糖系でできたピルビン酸や乳酸、糖質、たんぱく質、脂肪、紫外線、カリウムなどをもとに、酸素を使い、これらを分解し、クエン酸回路と電子伝達系を経由して、エネルギーを作る。

 

・ミトコンドリア内で、高体温(37℃以上)の環境下で活発に働く。

 

・解糖系に比べてエネルギーを作り出す速度は遅いが、解糖系の18倍の効率がある。

 

・安定的、かつ大量に作られるので、持久力を必要とする行動に使われる。(体温を保つ、動作の継続、運動を長時間行うなど)

 

・細胞の分裂を抑制する働きがある。

 

・利用される細胞:赤筋、脳神経細胞、卵子、一般の細胞など

 

 

細胞内のエネルギーシステムは、年齢により変化

 

 

解糖系とミトコンドリア系のエネルギーを必要に応じて使い分けていますが、年齢によっても変化します。

 

・20歳位までは、解糖系が優位

 

・20~50歳代:解糖系とミトコンドリア系の比率が1対1(年代により、多少の比率は変わる)

 

・40~50歳代:解糖系からミトコンドリ系への移行が強くなる。

 

・60歳代以降:ミトコンドリア系が主体

 

年齢とともに、無理が利かなくなったと感じるのは、ミトコンドリア系への移行が進んでいるからともいえます。ですから、年齢=体のエネルギーシステムにあった生活の仕方(無理をしないなど)も必要になってきます。