✵病気発症のメカニズム②免疫系

免疫力が高いとは?

 

「免疫力が高いと病気になりにくい」「治りが早い」とよく言いますが、一体どんな状態なのでしょうか?それは、顆粒球とリンパ球のバランスが保たれているということです。そして、そのバランスを保っているのが自律神経なのです。

 

つまり、自律神経のバランスを保つことが、免疫力を高め、病気にならないということです。

 

では、白血球と自律神経の関係をみていきます。

 

 

からだを守っている白血球

 

血液中の細胞で、ウイルスや細菌、がん細胞などの攻撃から体を守っています。血液1㎜中に5000~8000個ほど含まれていて、約60%が顆粒球、約35%がリンパ球で占められています。(顆粒球は、好中球、好酸球、好塩基球に分かれていますが、95%は好中球なので、顆粒球=好中球として説明します)

 

顆粒球の働き

 

・顆粒球は、真菌や細菌、古くなって死んだ細胞の死骸などの「大きいサイズの異物」を食べて処理している。

 

・炎症性の病気にかかった時などは、膨大な数となる。

 

 ・顆粒球は生き続ける遺伝子を持っていないため、体内の細胞で寿命が一番短く、2・3日で死に、50%の細胞が一日で入れ替わっている。(外敵に対して戦うため、絶えず、元気な顆粒球が補充されている)

 

・役目が終えると、組織の粘膜にたどり着いて、活性酸素を放出しながら死ぬ。

 

・活性酸素は、強力な酸化力があり、正常な細胞を破壊してしまう力があるが、身体には、活性酸を無毒化する機能があるので、顆粒球の割合が正常範囲内であれば、問題はない。顆粒球が増えすぎると、無毒化できなくなり、組織破壊が起こるようになる。

 

リンパ球

 

・リンパ球は、ウイルスなどの小さな異物、異種たんぱく(自分の身体にはないたんぱく質、がん細胞、老化細胞などの処理を担当している。

 

・長い進化の中で、役割の異なる様々なリンパ球が生まれ。新旧2つの免疫システムにより、身体を守っている。

 

・古い免疫システムを行うリンパ球は、NK細胞、胸腺外分化T細胞(NKT細胞)。皮膚や、消化官など、異物と頻繁に接触するまたは、異物が侵入しやすい部位にある。がん細胞、マラリア感染細胞、老化細胞など、異常になった自己細胞の処理を担当。

 

・新しい免疫システムを行うのは、ヘルパーT細胞、キラーT細胞、B細胞。リンパ節や胸腺、脾臓などにある。ウイルスやがん細胞などの処理を担当。

 

・リンパ球も同様、増えすぎるとアレルギー疾患の原因となる。

 

マクロファージ

 

・白血球のうち、顆粒球とリンパ球を除いた残りの5%がマクロファージ。

 

・マクロファージは、白血球の中で外敵を攻撃する際の司令塔として働いている。

 

・体内に異物が侵入すると、マクロファージが食べ、どのような敵かを判断、そのかけらをリンパ球や顆粒球に見せる(抗原提示)という働きをする。

 

・マクロファージは全身に分布。場所によって名前や働きが異なる。

 

 

自律神経は内臓や血管だけでなく、白血球の数や働きも調整している

 

白血球は血液中の成分で、体内を循環しています。これまで体内を移動している細胞は、自律神経の作用を受けにくいと考えられていました。しかし、福田医師と安保医師は自律神経とリンパ球についての共同研究を行い、自律神経は白血球の数や働きも支配しているということを突き止めました。(福田安保理論「白血球の自律神経支配の法則」

 

自律神経が内臓を調節する際に、交感神経はアドレナリン、副交感神経はアセチルコリンを分泌しますが、顆粒球には、アドレナリン、リンパ球にはアセチルコリンの「受容体(レセプター)」があるということがわかったのです。(レセプターとは、細胞の膜上にあるたんぱく質の分子で、ある特定の分子を選んでくっつく性質がある)

 

つまり、

 

・交感神経が優位アドレナリン分泌顆粒球が反応して、数が増え活性化する

 

・副交感神経が優位となるとアセチルコリン分泌リンパ球が反応、数が増え、活性化する

 

ということです。

 

 

この発見により、以下の結論が導き出されました。

 

「自律神経のバランスが乱れると病気になる。」

 

病気になった時、何らかの不調が出ている時、同時に、自律神経も乱れているとも言えます。

 

交感神経と副交感神経がバランスよく働いている時(白血球の割合は、顆粒球54~60%、リンパ球は35~60%)体調も良く、病気にかかりにくい、またかかった時も、免疫力で自然治癒するということです。

 

参考文献:

自分の免疫力で病気を治す本/安保 徹・岡本 裕著

薬をやめると病気は治る/安保 徹著

病気は自分で治す免疫学/安保 徹著

 

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